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予備校講師×学校国語

ごんぎつね

 昔から、国語教科書に載っている作品について娘と色々話せたら楽しいだろうなと思っていたのですが、これといった話もできないまま長女は小学3年生になってしまいました。「何もできずに終わってしまう…」と焦り、手にとったのが小学校国語(4年生)の定番教材「ごんぎつね」です。
 20代の頃、国語教育関連の雑誌を読んでいたことがあるのですが、そこには、授業実践の例として「ごんぎつね」がやたらと出てきました。その時は「みんなごんぎつね好きだなぁ…」くらいしか思いませんでしたが、昨年(2021年)の夏ごろ、「そんなにみんな好きなら、自分もいくつか読んでみよう」と思い立ったのです。読んだのは『新美南吉童話集』でした。

 結果、とても良かったです。『ごん狐』の他にも、『でんでんむしのかなしみ』『小さい太郎の悲しみ』『久助君の話』『疣』など、【わかりあえぬ悲しみ】を、こんなにも柔らかな文体で優しく切なく表現できるものなのかと感嘆しました。そして、長女が4年生で「ごんぎつね」を習う前に、もう少し読みを深めておきたいなという気になり、下の5冊を読みました。

『新美南吉研究』
生野金三
※リンクなし

 いずれも新たな発見を与えてくれる良書でしたが、それらを読んでいる中で、「ごんぎつね」を題材に「大学入学共通テスト対策問題」を作っても面白いのではないかという気がしてきました。作品は児童向けに書かれたものですが、表現の特徴・効果を考える題材として優れていますし、教科書に採録されている「ごんぎつね」は新美南吉の【草稿】に鈴木三重吉が手を加えたものなので、【草稿】と【定稿】を比較する複数資料問題も作れそうです。作題を通じて「ごんぎつね」に詳しくなれば、寝る前の娘との雑談にも花が咲きそうだなという考えもありました。

 さて、このような経緯で問題を作った(→教材提供参照)のですが、作ったからには色々な方に使っていただきたいと思っています。すべて西原が個人的に作成したものなので、誤植などのミスが含まれている可能性が少なくないのですが、その辺りを許容していただける方であれば、どなたでもお使いください(西原作の問題を叩き台として、もっと質の高い問題を作っていければ、ということも夢想しています。尚、商用での利用はご遠慮ください)。問題の内容については「教材提供」をご覧ください。