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のぼうの城

 この記事で触れましたが「映画」は物事に関心を持ったり、理解を深めたりするのに役立ちます。長女が『戦国姫』シリーズ(集英社みらい文庫)の影響で「甲斐姫」のファンになっていたので、甲斐姫の登場する映画「のぼうの城」を勧めてみました。休日にNETFLIXで観ていたようです。

 『戦国姫』によると、甲斐姫は武芸に秀でた存在だったようですが、『のぼうの城』では可愛らしいヒロインといった位置付けでした。成田長親(=のぼう)役の野村萬斎さんの演技が良かったですね。
 さて、本と映画の後は実物だろうということで、埼玉県行田市にある忍城(=のぼうの城)に行くことにしました。城だけでは次女がかわいそうなので、次女が遊べる場所も探します。忍城から車で30分程度の場所に「国営武蔵丘陵森林公園」があったので、【午前:森林公園】→【午後:忍城】という流れにしました。

 森林公園はとにかく広い(東京ドーム65個分)…。とても周り切れないので、遊んだのは西口エリアだけです。遊具が詰まった「むさしキッズドーム」やアスレチックの「冒険コース」などがあって、小学生の屋外遊びに最適です(小学生以下無料だし)。13時頃まで遊び、グリルKで昼食後、忍城へ行きました。行田市郷土博物館が併設されており、御三階櫓も建っています。

リアル謎解きゲーム

 たまたま、リアル謎解きゲーム【忍城に眠る謎】が開催されていました。「シン・ゴジラ」みたいなパンフレットです。景品獲得を目指して、クイズに答えながら博物館や御三階櫓周囲をめぐるというもので、長女はこの手のゲームが大好きです。はじめは博物館の史料を興味深そうに眺めていた長女でしたが、ゲームを始めてからは全く見向きもしなくなり(笑)、クイズに没頭していました。「忍城の思い出=クイズの思い出」となりましたが、そんな経験も良いかもしれません。

 

 

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少女の日の思い出

 長女の友だち家族とBBQをする予定だったのですが、雨の可能性があったので延期となり、急遽、日帰りで山梨に行きました(朝7:00に出発し、8:30頃には現地着)。戦国時代にハマっている長女の要望に応え、今回の目的地は「武田信玄の墓」と「三条の方(=信玄の正室)の墓」です。長女が披歴する戦国豆知識(←『戦国姫』で学習)を聞きながら2つのお墓を回ります。立派なお墓ではありましたが、9時前には見終えてしまいました。 

武田信玄の墓
武田神社

 長女は満足したようでしたが、連れ回されている次女からすれば「朝早く起こされて、1時間半車で運ばれた上に、よくわからない人の墓参りをして終わった」という状況です。さすがにかわいそうなので、近くの山梨県立科学館に行きました。

便座に座って消化を学ぶ3女
巨大バブルに入る長女と次女

 ここは楽しいですね!学びと遊びがバランスよくミックスされていて、小学生であれば丸1日過ごせると思います。特に良かったのは「昆虫の標本作り体験(1000円)」でした。昆虫標本と聞き、国語教師として想起するのは、中学校の教科書掲載「少年の日の思い出」(ヘルマン・ヘッセ)です。

胸をどきどきさせながら、ぼくは誘惑にまけて、紙きれを取りのけ、ピンをぬいた。すると、四つの大きな不思議な斑点が、さし絵のよりはずっと美しく、ずっとすばらしく、ぼくを見つめた。それを見ると、この宝を手にいれたいという逆らいがたい欲望を感じて、生れてはじめて盗みをおかした。
   (略)
…大きなトビ色の厚紙の箱を取って来、それを寝台の上にのせ、やみの中で開いた。そしてチョウチョを一つ一つ取り出し、指でこなごなにおしつぶしてしまった。

「少年の日の思い出」(ヘルマン・ヘッセ/高橋健二訳/中公文庫)

 蝶を盗んだことが露見し、友人(エーミール)から軽蔑された少年は、自責の念に苛まれながら自分の蝶を一つ一つ押しつぶします。全国の中学生に何とも言えない嫌な読後感を与え続けている名作ですね。彼らがおこなっていた蝶の展翅(てんし)とはどんな作業なのか、講師として、この機会に経験しないわけにはいきません。妻は高速道路の渋滞を懸念して申し込みを躊躇していましたが、「だって本人(長女)がやりたがっているから」と説得し、娘と2人で体験しました。

 かいこがの柔らかな身体の扱いに苦労しながら細かい作業を進め、担当職員の方の講義と合わせて1時間程度で体験を終えました。展翅作業はもちろん、職員の方の生物愛溢れるお話を聞けたのも良かったです。結局、閉館時間ギリギリまで滞在し、科学館を満喫して帰路につきました。娘が中学校でヘッセの作品と出会ったとき「少女の日の思い出」として今日の日のことを思い出すのを期待しながら。