「角川つばさ文庫」にハマっている長女と2人で、角川武蔵野ミュージアム(@東所沢)に行ってきました。下の写真は4階「エディットタウン ブックストリート」で、松岡正剛さん監修のもと、約25000冊の本が9つのテーマに分けられ配架されています。
〖テーマ1〗記憶の森へ
〖テーマ2〗世界歴史文化集
〖テーマ3〗むつかしい本たち
〖テーマ4〗脳と心とメディア
〖テーマ5〗日本の正体
〖テーマ6〗男と女のあいだ
〖テーマ7〗イメージがいっぱい
〖テーマ8〗仕事も暮しも
〖テーマ9〗個性で勝負する
様々な領域の知が有機的に結びつき、連想が連想を生むような、いかにも松岡正剛さんらしい配架です。本好きであれば「ここ、いつまででもいられるな」という場所ですね。今回は子どもと来ていたので1時間弱でこのフロアを離れましたが、1人で来て1日中本の山に埋もれるのも良いと思います。
ブックストリートの終点にあるのが、約8メートルの巨大本棚に囲まれた図書空間「本棚劇場」で、約30000冊の本が配架されています。20分に1回プロジェクションマッピングが上映される(写真右)のですが、鑑賞中頭に浮かんできたのは、中島敦『文字禍』でした。
数日後ニネヴェ・アルベラの地方を襲った大地震の時、博士は、たまたま自家の書庫の中にいた。彼の家は古かったので、壁が崩れ書架が倒れた。夥しい書籍が――数百枚の重い粘土板が、文字共の凄まじい呪の声と共にこの讒謗者の上に落ちかかり、彼は無慙にも圧死した。
中島敦『文字禍』
今の時代、インターネットを使えば何万冊もの本を簡単に検索できますし、電子書籍も増えていますが、大量の本に圧倒される感覚は、実物の本が堆く積まれたこの空間ならではのものですね。ネット上の図書空間は、本と本、知識と知識を結びつけるフットワークの軽さがありますが、悪く言えば、軽薄な知を生み出す装置になっているようにも思います。本棚劇場は、物理的な高さや重さによって、知の歴史、重みを空間的に表象しているようにも思えました。
引用した『文字禍』は、文字の霊の力によって人々が観念的な思考に耽るようになってしまうという「禍(わざわい」の話なのですが、本棚劇場にいると、文字や本に備わる「霊力」というのがなんとなくわかる気がします。
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帰宅後、部屋の本棚を無性にいじりたくなり、読まなくなった本を処分しました。「本棚を見るとその人がわかる」と言われることがありますが、僕の本棚には、新しいものを取り入れず凝り固まった僕の脳内がよく表れている気がしました(笑)。途中で数えてみると160冊程だったので、200冊を目標にどんどん袋に入れていきました。数を設定して「記録更新」を狙うと、思い切りがよくなりますね!